現代社会における睡眠不足の問題は年々深刻になってきています。厚生労働省の調査では、4割以上の日本人の睡眠時間が6時間未満となっています。睡眠は時間の長さもありますが、質も重要であると言われています。より一層睡眠の質を高めていくことが重要となります。そして睡眠の質を高めるとともに、食物から栄養を摂ることが重要です。
この記事では睡眠の質を上げることが期待できる食物を紹介したいと思います。
睡眠の質は大事です
睡眠は、体の疲労を回復することはもちろん精神の疲労も回復させるという効果があります。慢性的に睡眠不足だったり、睡眠の質が低いと健康な生活が損なわれてしまいます。また、睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることが次第にわかってきています。
睡眠を促す食べ物ってどんなものがあるの?
乳製品、青魚、大豆、バナナ、玄米など
玄米、肉類、チーズや牛乳などの乳製品、カツオやマグロなどの青魚、豆腐や納豆などの大豆加工食品、バナナなどがあげられます。
多くの食べ物から取ることができるので、毎日摂取することは難しくはないですが、特に意識して摂取すると睡眠の質向上につながるでしょう。
肉類・魚介類
肉類や魚介類にはグリシンという成分が多く含まれて、睡眠の質向上につながります。
最近ではグリシン配合のサプリメントも多数販売されているので、そちらで補うこともできます。
発芽玄米
発芽玄米はGABAという栄養素を含んでいて睡眠の質向上に役に立ちます。
ひじき、昆布、わかめ
ひじきや昆布、わかめなどの海藻類。豆腐、納豆などの大豆加工食品。魚介類も睡眠の質の向上に役立ちます。
睡眠の質向上を促す栄養成分とは?
トリプトファン
トリプトファンは、乳製品・青魚などに含まれます。体内では生産できないため食べ物から摂取しなくてはならない必須アミノ酸の一種です。そんなトリプトファンは睡眠の質向上のためにもっとも重要な栄養素といっても過言ではありません。
なぜならトリプトファンは、睡眠の質向上の鍵を握っていると言われているセロトニンや、メラトニンを作るもととなるからです。セロトニンは脳内で働く神経伝達物質の一種で、精神や感情の働きを落ち着ける・和らげる効果があります。
メラトニンはホルモンの一種で、覚醒と睡眠を切り替える作用があります。このメラトニンもまた、トリプトファンから体内で合成されます。
このように、トリプトファンは睡眠のリズムを作るセロトニンやメラトニンの合成に必須なアミノ酸です。トリプトファンは体内では合成することができないので、しっかり食事から摂取することが重要です。
グリシン
グリシンは肉類・魚介類に含まれる、アミノ酸の一種で、赤血球や肝臓における重要な役割を担っています。グリシンは、身体の末端部分の血行量を増やして深部体温、つまりは内臓部分の熱量を下げる働きがあります。
深部体温の低下は、睡眠の質をあげることにつながると言われているので、グリシンの摂取によって睡眠の質向上を期待することができます。
GABA
発芽玄米にもGABAという栄養が含まれています。GABAもまたアミノ酸の一種で、脳や脊髄などの中枢で働く神経伝達物質となっています。GABAには抗ストレス作用や、神経の興奮を静める作用があります。そのため、GABAを摂取することによって、睡眠の質向上を見込むことができます。
多くの睡眠薬にGABAの作用を強める成分が配合されていることからも、睡眠における重要性がお分かりいただけるかと思います。
マグネシウム
マグネシウムは必須ミネラルの1つで、ひじき・昆布・わかめなどに含まれます。体内の様々な酵素を活性化して生体の維持に寄与しています。
マグネシウムの不足もまた、睡眠障害が起こってしまう原因の1つとなっています。マグネシウムは、先述したメラトニンの他、レニンという睡眠に関係するホルモンの働きに関わっていると言われています。
睡眠の質向上におすすめの食事とは?
おすすめしたいのが、和風の朝食になります。わかめなどの海藻を入れた味噌汁や、焼き鮭などのお魚と玄米を合わせた朝食なら、相当量の成分を摂取することができます。調理してゆっくり食べている時間が無いという方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、バナナと牛乳を朝の空いた時間に摂取することをおすすめします。トリプトファンをしっかり摂取することができます。
【参考文献】 『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(坪田聡著、三笠書房) 健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)(厚生労働省健康局)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf